19 弦

 ギターの弦はまず大きく、金属弦(スティール弦)とナイロン弦(ガット弦)に分かれる。金属弦はブロンズ弦、ニッケル弦、ステンレス弦に分かれる。ほかにコンパウンド弦やコーティング弦がある。

 細い方から1弦、2弦、…6弦という。金属弦の場合、3弦からは芯線に細い金属線を巻きつけたワウンド弦になる。細い金属線を巻きつけていない1・2弦をプレーン弦という。ナイロン弦は1~3弦がプレーン弦で、4~6弦がワウンド弦である。
 アコースティックギターの弦の太さ表示は、「012-053 ライトゲージ」などとなっている。012は1弦の太さ、053は6弦の太さのインチ表示を表し、1インチは25.4mmなので、0.012×25.4=0.305mmになる。ダダリオ社の表記では、太さの細い順に、エクストラライトゲージ(010-047)、カスタムライトゲージ(011-052)、ライトゲージ(012-053)、メディアムゲージ(013-056)、ヘビーゲージ(014-059)となっている。
 一般的にはライトゲージが多用され、フラットピッキングやストロークを多用するプレイヤーはメディアムゲージを使用するプレイヤーが多い。ヘビーゲージは張力が高く、ギターを傷めるということでメディアムゲージまでを推奨するメーカーが多く、一部のメーカーしか販売していない。

 弦は多くのメーカーのものがあり、同じ種類、同じ太さであってもメーカーにより音の傾向が異なる。自分のギターに合った弦を見つけるのは、ある程度のあたりをつけたうえで様々なメーカーのものを張って実際に音を出してみなければ分からない。また、同じメーカーの弦であってもペグポストへの巻き数など、張り方によっても音が変わる場合がある。

 ギター弦の種類を挙げてみよう。

 ・ブロンズ弦:銅(どう)と錫(すず)の合金。アコースティックギター用の弦は、ほとんどがブロンズ弦である。合金率により音質に差が生じる。パッケージに「80/20」などと記載され、銅80%、錫20%の合金という意味である。錫の比率が低いほど中音が強調され音は太くストレートに、錫の比率が高いほど高音が強調され音はきらびやかになる。
 また、ブロンズ弦にはフォスファーブロンズ弦(1974年にアメリカのダダリオ社が初めて発売した)もある。これは、錫の比率を上げ、さらに燐(りん)を加えて高音域の倍音を増やし、よりきらびやかなシャリーンとした音質にしており、フィンガーピッキング奏者に人気がある。

 ・ニッケル弦:鉄とニッケルの合金。磁力に反応するため、主にマグネティックピックアップのエレキギターやエレアコに使われる。

 ・ステンレス弦:鉄とクロームの合金。磁力反応が良いため、エレクトリック弦に用いられる事が多い。ニッケルよりも硬いため、耐久性はあるが音質も硬めになる傾向がある。

 ・コンパウンド弦:(シルク&スティールとも呼ばれる)3~6弦の芯線と巻線の間にナイロン繊維を巻き付けたもの。弦自体が柔らかいためテンションも弱くなる。このため音色も柔らかくやさしいものになり、音量も小さい。

 ・ナイロン弦:ギターが世に出始めた中世以降、弦は羊の腸をよったガット弦であった。ナチュラルな音色ではあったが温度や湿度の変化に弱く、音程も不安定であり高価であった。1950年ごろアメリカでナイロン弦が発明され、その耐久性の高さと音程の安定性と値段の安さで瞬く間に世界に広まり、現在ではクラシックギターのプロ奏者でもほとんどがナイロン弦を使用している。ガット弦はリュートや19世紀ギターなどの古楽器奏者などの一部で使用されている。

 ・コーティング弦:弦は使用を続けると、きらびやかさがなくなり音質劣化が生じる。金属弦の3~6弦の巻き弦(ワウンド弦)でそれが顕著に現れる。このため金属弦では、弦の表面を合成樹脂でコーティングしたコーティング弦がある。弦の寿命が延び、すべりが良くなり、フィンガーノイズが少なくなるという利点がある。しかし、最初からややこもりぎみの音質であるという短所を指摘するプレイヤーもいる。