33 James Olson Dreadnought

James Olson Dreadnought

 James Olson(ジェームズ オルソン)はアメリカでは非常に評価の高いルシアーの一人で、ポール・マッカートニーやジェイムス・テイラー、ポール・サイモンなどの超一流ミュージシャンの使用でも有名である。最近人気のアメリカの新鋭ルシアーもオルソンの影響を多大に受けている者が多い。あまりの人気で、受注から納品まで数年待ちとなったため、私がこれを購入したころはオーダーをストップしていたほどである。

 このため中古価格も高騰していた。このように当時の手工アコギは、アメリカではオルソンが最も人気が高く、日本ではソモギが最も人気が高かった。以前からオルソンの音は非常に気に入っていたが、このように人気が高く数も少なく、なかなか中古で出てくることはなかった。しかも、日本でごくたまにネットで見かけるオルソンはジェームス・テイラーが使用しているSJモデルばかりで、価格もかなり高価であった。ドレッドノートのオルソンは以前にアコースティックギター・マガジン(2002年Vol.12)で中川イサト氏が試奏レポをしている記事の写真を見ただけで、実物は見たことがなかった。

 ある日、大阪の楽器店のサイトを見るとオルソンのドレッドノートとSJが両方入荷していた。これは弾き比べることの出来るまたとないチャンスと、すぐに弾きに行った。日本でもオルソンはSJというイメージが強く、ドレッドノートは全く同じ仕様でもSJより値段がやや安かった。(SJが高すぎるため、ドレッドノートは安いというよりも適正価格というべきか)しかし弾いてみるとSJより音色は深く、音量もありバランスも素晴らしく、私にとっては文句無くドレッドノートの方が良かったので購入した。

 見た目はやや地味であるが、オルソンのスタンダードとなっているトップがシダーでサイドバックがインディアンローズウッドの組み合わせから出てくるサウンドは、ドレッドノートボディにもかかわらずレスポンスは抜群、さらに倍音も豊富でオルソンにしか出せない独特の深い美しさがある。ストロークにもフィンガーピッキングにも高レベルで幅広く対応するオールマイティなギターで、弾き語りには最高の仕事をしてくれる。1999年製で購入時はそれなりに年数は経っていたが状態は非常に良い。ちなみにそれ以降も国内の店のサイトなどでオルソンを見かけてもSJモデルばかりで、ドレッドノートを見かけたことはない。